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股関節の屈曲に作用する筋肉の種類とその起始・停止・支配神経・拮抗筋を解説

股関節は、人体の中で最も大きな関節です。

その形態から、高い自由度を持つ関節でもあり、その中でも屈曲には腸腰筋という大きな筋肉が強力に作用します。

また、多くの補助筋が股関節の屈曲をサポートしています。

このページでは、股関節の屈曲に作用する筋肉の種類と、その起始・停止、支配神経から拮抗筋までを詳しく解説します。

股関節屈曲運動の概要

股関節は、寛骨と大腿骨で構成される関節でです。

大腿骨頭が寛骨臼という窪みにはまる形の関節で、肩関節と同じく球関節でありながら、寛骨臼の臼蓋が深いため、臼状関節とも呼ばれています。

股関節の屈曲運動は、約130°の可動域を持っていて、肩関節までとはいかないものの、広い可動域を持っています。

股関節の屈曲は、前額軸・矢状面上での運動です。

股関節の屈曲に作用する筋肉の一覧

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
大腰筋 第1 – 第5腰椎横突起
第12胸椎 – 第5腰椎椎体
大腿骨小転子 腰神経叢 L2 – L4
腸骨筋 腸骨稜
仙骨上部
大腿骨小転子 大腿神経 L2 – L3
大腿直筋 下前腸骨棘
寛骨臼上縁
脛骨粗面 大腿神経 L2 – L4
縫工筋 上前腸骨棘 脛骨骨幹部内側 大腿神経 L2 – L3
大腿筋膜張筋 腸骨稜 脛骨外側顆 上殿神経 L4 – S1
中殿筋前部 腸骨稜 大腿骨大転子 上殿神経 L4 – S1
股関節内転筋群 恥骨 大腿骨内側 閉鎖神経 L2 – L4

股関節の屈曲に作用する筋肉は、上の表の通りです。

主な動作は大腰筋と腸骨筋で行いますが、その他の股関節周囲筋が屈曲を補助します。

それぞれの筋肉について、さらに詳しく見ていきましょう。

股関節屈曲の主動作筋は腸腰筋

股関節屈曲の主動作筋は、大腰筋と腸骨筋で、この2つの筋肉を合わせて腸腰筋と呼びます。

2つの筋肉の起始はそれぞれ異なりますが、下外方に走行し最終的には一部合流して大腿骨小転子に停止します。

腸腰筋全体でみると、股関節の屈曲に協力して作用しますが、その走行の違いから単体ではそれぞれ異なる働きを持っています。

腸骨筋と大腰筋の働きについて、みていきましょう。

大腰筋の起始・停止・支配神経

大腰筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
大腰筋 第1 – 第5腰椎横突起
第12 – 第5腰椎椎体
大腿骨小転子 腰神経叢 L2 – L4

大腰筋は、第1腰椎から第5腰椎までの横突起、第12胸椎から第5腰椎までの椎体から起こり、垂直よりやや下外方に走行し、一部を腸腰筋と合流して小転子に停止します。

椎骨・寛骨・大腿骨をまたがって走行し、大腰筋よりも長い走行を持った筋肉です。

腰神経叢の支配を受けています。

体幹が固定された状態では、腸骨筋と共に股関節の屈曲に作用します。

反対に、股関節が固定された状態では、腸骨筋と共に体幹の屈曲に作用します。

その他にも、大腰筋固有の働きとして、以下のような作用があります。

  • 股関節の外旋
  • 腰椎の屈曲 (両側収縮時)
  • 腰椎の側屈 (片側収縮時)

股関節の外旋運動は補助的なものですが、腰椎の屈曲や側屈には主動作筋として働くので、股関節の屈曲と合わせて、作用を覚えておきましょう。

腸骨筋の起始・停止・支配神経

腸骨筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
腸骨筋 腸骨稜
仙骨上部
大腿骨小転子 大腿神経 L2 – L3

腸骨筋は、腸骨稜の内側全体や仙骨上部から起こり、下方に走行し、大腰筋と一部合流して大腿骨小転子に停止します。

走行は大腰筋よりも短いですが、幅の広い起始を持つ筋肉です。

支配神経は大腿神経です。

腸骨筋は大腰筋と共に股関節の屈曲に作用します。

また、股関節が固定された状態では、骨盤の前傾に作用します。

腸骨筋は、ほぼ真下に走行することから、屈曲方向以外の作用を持っていないのが特徴です。

走行の長い大腰筋と、幅の広い腸骨筋の2つが合わさって、腸腰筋となり股関節の屈曲に強力に作用しています。

股関節屈曲の補助筋

股関節屈曲を行う腸腰筋はとても強い筋肉ですが、その他にも股関節の屈曲に補助的に働く筋肉が多くあります。

単純な屈曲方向の運動だけでなく、あらゆる角度から補助筋がサポートすることで、屈曲運動が生まれています。

大腿直筋の起始・停止・支配神経

大腿直筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
大腿直筋 下前腸骨棘
寛骨臼上縁
脛骨粗面 大腿神経 L2 – L4

大腿直筋は、膝関節の伸展筋として知られていますが、股関節と膝関節をまたがる2関節筋であるため、股関節の屈曲に補助的に作用します。

大腿直筋は、下前腸骨棘や寛骨臼の上縁から起こり、脛骨粗面まで走行する長い筋肉です。

大腿四頭筋を構成する1つの筋肉ですが、4つの筋肉の中で唯一の2関節筋なので、股関節の屈曲に作用するのは大腿直筋だけです。

縫工筋の起始・停止・支配神経

縫工筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
縫工筋 上前腸骨棘 脛骨骨幹部内側 大腿神経 L2 – L3

縫工筋は、上前腸骨棘から起こり、下内方に走行し、脛骨骨幹部内側で停止する細くて長い筋肉です。

薄筋と半腱様筋と共に鵞足を形成する筋肉として知られています。

その走行から、股関節の屈曲に補助的に作用しますが、主な働きとしては股関節の外転・外旋に作用する筋肉です。

この筋肉も、股関節を膝関節にまたがる2関節筋であるため、膝関節の屈曲や内旋にも作用します。

大腿筋膜張筋の起始・停止・神経支配

大腿筋膜張筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
大腿筋膜張筋 腸骨稜 脛骨外側顆 上殿神経 L4 – S1

大腿筋膜張筋は、腸骨稜から起こり、腸脛靭帯に停止する筋肉です。

長脛靭帯は、腸骨から脛骨外側顆まで走行する長い靭帯なので、大腿筋膜張筋が収縮することで、膝関節の運動にも関与します。

股関節の筋肉としてはとても小さいものなので、股関節の屈曲と内旋に補助的に作用する筋肉です。

中殿筋の起始・停止・支配神経

中殿筋前部

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
中殿筋前部 腸骨稜 大腿骨大転子 上殿神経 L4 – S1

中殿筋は全体として股関節の外転に働く筋肉ですが、腸骨稜全体という広い起始を持つため、中殿筋前部のみ股関節の屈曲に補助的に作用します。

また、後部は補助的に伸展に働くため、股関節の内転以外の全ての動作に関与する筋肉です。

中殿筋は、腸骨稜から起こり下方に走行して、全て大腿骨の大転子に停止します。

股関節内転筋群の起始・停止・支配神経

股関節内転筋群

股関節内転筋群の内、以下の筋肉が股関節屈曲の補助筋として作用します。

  • 大内転筋 (上部繊維)
  • 長内転筋
  • 短内転筋

これらは全て恥骨から起こり、大腿骨内側に停止する筋肉です。

支配神経は全て閉鎖神経で、主な働きは名称の通り内転なのですが、股関節の屈曲筋に補助的に作用します。

内転には強力に働く筋肉ですが、屈曲に作用する力はわずかです。

股関節屈曲の拮抗筋

股関節の屈曲には、強力な腸腰筋と多くの補助筋が働いています。

それに対して、拮抗筋は股関節の伸展筋である大殿筋とハムストリングスです。

股関節の伸展運動は、可動域が少なく、関与している筋肉もそれほど多くありません。

ただ、大殿筋とハムストリングスは、それぞれ強力な作用を持った筋肉なので、この筋肉の緊張が強いと、股関節屈曲可動域が十分に得られません。

バランス療法では、股関節の屈曲筋と拮抗筋である伸展筋の緊張差を必ず検査するようにしています。

大殿筋の起始・停止・支配神経

大殿筋

筋肉名 起始 停止 支配神経 Lv
大殿筋 腸骨・仙骨・尾骨 大腿骨殿筋粗面
腸脛靭帯
下殿神経 L5 – S2

大殿筋は、股関節の伸展に強力に作用する筋肉で、股関節屈曲筋の拮抗筋になります。

腸骨・仙骨・尾骨と寛骨の背面大部分から起こり、外下方に走行し大腿骨の殿筋粗面と腸脛靭帯に停止します。

支配神経は下殿神経です。

股関節を伸展させる作用の他にも、外転・外旋・内転に作用します。

股関節を伸展させる筋肉については、こちらのページで詳しく解説指定ます。

股関節の伸展に作用する筋肉の種類とその起始・停止・支配神経についてはこちら

股関節屈曲筋のまとめ

股関節の屈曲には、大腰筋と腸骨筋からなる腸腰筋が主動作筋となって働きます。

バランス療法では検査によって、股関節の屈曲筋は左右どちらが緊張しているかを明らかにします。

この筋肉の緊張差を知ることで、左右どちらに重心が乗っているか、体幹が傾く傾向にあるかを判断できます。

症状でみると腰痛や椎間板ヘルニアなどに大きく関与する筋としても重要ですし、この筋肉のバランスを整えることで、腰椎と寛骨を適切に支持されるので、全身のバランスを整えるという意味でもとても大切です。

バランス療法の手技では、股関節屈曲筋の緊張を弛緩させる『腹臥位の牽引操法』がこの筋肉の調整にあたります。

施術の際も、この筋の走行や働きがイメージしながら調整するように心がけましょう。

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