東京と大阪で開催している手技セミナーの内容と人体の考察

良い施術をするためには術者自身の姿勢に注意する必要がある

手技療法の施術をする上で、患者さんの姿勢分析や、動作の分析は必ず行うものだと思います。

それもとても大切な事なのですが、セミナーでは手技をする時も、検査をする時も術者の姿勢を必ず指導するようにしています。

今回は少し視点を変えて、術者側が姿勢に注意を向ける必要性について考えてみたいと思います。

施術者が姿勢に注意する事でどんな効果がある?

治療を行うセラピストは、誰もが治療中患者さんの身体の事で頭がいっぱいになると思います。

ですが、少し視点を変えて自分も患者さんも一歩引いた所から見てみると、思わぬ効果があります。

セラピストの身体を守り長く治療に携わることができる

まず第一に、セラピストの身体を守ることになります。

治療に携わるセラピストで、身体を壊してしまったという話は案外良く聞くものです。

頚椎・腰椎ヘルニアで仕事ができなくなったなど、重い症状が出てしまう人もいますし、仕事ができるけど、慢性的な腰痛持ちだという人も少なくありません。

また、マッサージで力を入れすぎて、手首や指を痛めてしまうという例も多いのではないでしょうか。

どれだけ患者さんの事を思っていても、自分の身体が先に壊れてしまうと、治療自体に関わることができなくなってしまいます。

また、例え効果の高い手技を持っていても、それがあまりに自分の身体に負担がかかることなら、やり方を見直す必要があります。

その日できたことが、自分の体調次第では次の来院時にはできなくなってしまう可能性があるからです。

再現性の高い手技を行う事につながる

姿勢を見直し、手技や治療にある程度の形を作ることは、再現性の高い手技を行うことに繋がります。

例えば、中腰で腰の痛みを我慢しながらでないとできないような手技があるとして、その手技は次も全く同じことができるでしょうか?

痛みが強く感じる日は、無意識に疼痛を回避する姿勢を取ってしまうでしょうし、痛みがある状態ではそもそも身体が安定せず、同じ動作を同じように繰り返すことは困難です。

自分の姿勢を見直すことで、手技の最中の安定した身体のポジションを見つけることができれば、術者の身体がまず安定し、楽な動きで同じ動作を繰り返し行うことができます。

そうすれば、手技の動作にもブレが少なくなり、患者さんに与える力の量や、刺激の量も誤差が少なくコントロールできる様になります。

同じことができれば、効果の高い手技の検証にもつながり、さらに手技の精度が増していく事も十分に考えられます。

自分の身体を守りつつ、安定した手技をいつでも患者さんに提供できる様になれば、どちらにとっても良い循環が生まれることになります。

1つ1つの手技を丁寧に見直す

術者の姿勢に気をつけるには、施術中に何気なく行っていた動作を1つ1つ見直してみることが大切です。

施術中に自分の身体に負担を感じたら、そのまま続けずに立ち止まってみてください。

そうしていくつかの事に注意してみます。

  • 患者さんとの距離感は適切か?
  • 無理な角度で手技に入っていないか?
  • 必要以上に手首や手指に体重をかけていないか?
  • 本来入るべきポジションに物が置いていないか?

など、些細なことに注意するだけで、施術に最適な姿勢はとても取りやすくなるものです。

毎日のことなので、ついつい面倒なことは省略してしまいがちですが、1つ環境を変えるだけで、見える景色が変わることはよくあることです。

施術中にふと思い出したら、1つでも意識して自分の身体の声を聞いてみてください。

術者の姿勢に関するまとめ

治療に集中すると、つい意識がそれだけに向いてしまい、客観性を失ってしまいます。

1度リセットして、自分の姿勢を見直すことで、術者の身体は安定し、落ち着いて手技によるアプローチを行うことができます。

自分のためにも、長く患者さんと関わっていくためにも、自分の身体にかかる負担を減らし、患者さんの身体の負担も取ってあげられる手技療法家を目指していきたいですね。