
2017年10月の東京セミナーは下肢の牽引操法をテーマに開催しました
2017年10月22日に、下北沢で開催した手技セミナーは、大腿神経系の筋を調整する、下肢の牽引操法を学びました。
手技の目的
今回の手技は、重心側に傾いた身体に対して、主に大腿四頭筋の筋作用を左右同じにすることで、寛骨や腰椎の傾きの改善を目的とした手技です。
大腿四頭筋は膝を伸展させたり、股関節を屈曲させる作用があります。膝を伸展しやすく股関節も屈曲しやすいため、左右の筋作用の差がある場合、大腿四頭筋緊張側に頭が傾き重心側になる事が多くあります。
検査と分析
全ての手技に言えることですが、まず上肢と下肢の検査で左右の主要な筋肉がどのように働き、左右差の違いから骨格がどのように影響を受けているかをチェックしなければ手技を行うことが出来ません。
今回の手技は、大腿神経の支配を受ける筋肉にアプローチする手技のため、膝関節検査と股関節検査が重要となります。
左右どちらの大腿神経系の筋肉が緊張し優位に機能しているかが判断をします。そしてその下肢が閉鎖神経系の筋肉が優位か下殿神経系の筋肉が優位かを判断し、手技を外転位か内転位か行う順番を決めます。
手技
緊張した大腿四頭筋を弛緩させるため、伏臥位にさせて足関節を牽引してアプローチします。
大腿四頭筋の筋緊張している側は伏臥位で安静位の状態でも、股関節が屈曲傾向、膝関節が伸展傾向、足関節が背屈傾向となります。
この手技のポイントは、足関節を底屈方向、膝関節を屈曲方向、股関節を伸展方向に他動的に関節運動にて牽引することで、大腿四頭筋を伸張させると筋を弛緩させることが出来ます。
しかし、3関節を捻らずに牽引することは大変難しく、術者のセットするポジション、術者の手足の使い方、相手の足関節の位置、脛骨神経と総腓骨神経を固定するポイント、相手の呼吸の状態など注意する点は多岐にわたります。
バランス療法では、この安静位の筋作用や関節運動の機能差をバランスよく機能させることを重要視しています。
今回はまだ初心者のセミナー生のみだったので、まずは基本的な動きから学んでもらいました。
1回2回では完璧にマスターできる程簡単なテクニックではありませんが、回数を重ねて無駄な動きが省かれてくると、より効果の高い手技が身につきます。
後記
東京セミナーが始まって今月で3回目ですが、大阪と比べ参加人数が少ないので、必然的に1人あたりの指導時間も増えます。
そのせいなのか、初めて練習する手技とは思えない程綺麗なフォームで手技を行なっている姿をみて嬉しくなります。
街で歩いている人も、スポーツをする人も、全てに共通して言えることですが、綺麗なフォームで仕事をする人は良い結果が生まれやすいなと思います。
バランス療法においてですが、施術時に綺麗なフォームなら必ず良い結果が出る訳ではありませんが、不細工なフォームでは絶対に良い結果は出ません。
理由は、無理な姿勢は施術者の力が入り、それが全て刺激として相手に伝わります。その刺激により相手は筋収縮を起こしてしまいます。これでは何時間やっても効果は出ません。