東京と大阪で開催している手技セミナーの内容と人体の考察

2016年11月のセミナーは股関節の外転・外旋筋の弛緩を目的とした手技を行いました

2016年11月13日に大阪上本町で開催したセミナーは、股関節の外転・外旋筋群を調整する手技をテーマに行いました。

股関節は、屈曲・伸展・内外旋・内外転と自由度の高い運動をする関節ですが、今回の手技では特に外転・外旋運動に関与する筋を調整することを目的とします。

股関節の外転・外旋筋の緊張差を左右で比較する

手技をする前に、まずは股関節周囲の筋の緊張差を左右で比較するテストを行います。

今回の手技の目的は、大・中・小殿筋や、大腿筋膜張筋、深部外旋六筋など、股関節を外転・外旋方向に動かす筋肉を弛緩させることが目的なので、左右どちらが外転・外旋傾向にあるか調べることから始めます。

股関節の外旋傾向は、仰臥位で寝た時に足が開いている方が多いですが、必ずそうだとは言えず、やはり筋の緊張・弛緩のバランスは実際にその運動をさせた方がより確実な判断ができます。

左右に全く同じ外転・外旋方向への運動を行い、左右の可動域の差や、拮抗筋との緊張差から、左右の緊張側を調べます。

内転・内旋筋の拮抗作用が弱く、股関節が外転・外旋方向に広い可動域を持つ側の下肢が、股関節外旋傾向にあると判断して、手技に移ります。

外転・外旋筋を弛緩させ拮抗筋や対側下肢とのバランスをとる

緊張している下肢が分かったら、今度は緊張している筋を弛緩し、拮抗筋との緊張差が取れるように手技をかけていきます。

また、そうすることで、対側の股関節周囲の筋のバランスが変化し、それが骨盤に腰椎に…という様に、常に1つの手技が間接的に全身に影響していることを考えていきます。

股関節を内転・外旋方向に操作する手技を行う

上記の通り股関節はとても自由度の高い関節ですが、実は股関節だけで動く運動範囲はとても小さく、股関節の運動に伴って骨盤や腰椎の運動が協調的に起こってきます。

今回の手技では内転・内旋方向に股関節を他動的に操作していきますが、あまり大きく動かし過ぎると、骨盤にまで影響が及ぶため股関節だけを操作し、股関節に関わる筋肉のみにアプローチする様に慎重に操作していきます。

外転・外旋筋群を少しずつゆっくり伸長させていく様に、股関節に内転・内旋操作を加えます。

動かす可動域は、外から見ると本当にわずかなものですが、それでも丁寧に手技をかけていくと、内転操作の途中で術者の手にわずかな抵抗を感じることができます。

この抵抗を強く感じない所までが、股関節が単独で動ける内転の範囲と考えられ、これは人によって個人差があります。

反対側の下肢を超えて内転方向に動かしていける体と、内転操作を始めてすぐに抵抗を感じる体がありますが、どちらの場合も、その人の体に合わせて手技をかけていくことが大切です。

内転可動域が広い人に、少しの内転操作だけでは十分な筋肉の弛緩が得られませんし、内転可動域が狭い人に無理に内転操作をすると、それだけで筋肉に緊張が起こってしまい、こちらも十分な効果が得られません。

内転・内旋をかける手技のまとめ

今回の手技は、バランス療法で学ぶ下肢の手技の中では、動かす範囲がとても少ない手技です。

ですが、下肢の持ち上げ方、内転への入り方、内転・内旋方向への操作など、手技を効果的にかけるには、たくさんのポイントがあります。

また、筋の緊張を取るためにかける手技で、相手の下肢が完全に脱力した状態を作りだす必要があるため、直接触れている部分はもちろん、術者側の体の安定も同時に求められることになります。

少ない動作で完結する手技だからこそ、細部まで気をくばって施術に生かしていきたいですね。

実際に臨床で試しながら、どんどんコツをつかみましょう。

 

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