東京と大阪で開催している手技セミナーの内容と人体の考察

2017年7月のセミナーは肩関節外転・内転筋を調整する手技をテーマに行いました

2017年7月9日に大阪上本町で開催したバランス療法の手技セミナーは、肩関節外転・内転筋の調整する手技をテーマに行いました。

バランス療法では、肩関節にアプローチする手技はいくつかありますが、それぞれ動かす運動方向や刺激を与える筋が異なります。

今回の手技では、肩関節の左右の筋機能を比較し、外転筋優位の肩関節に対して外転筋の弛緩を狙い、内転筋の働きを促すことを目的に行います。

肩関節外転・内転筋の緊張差を左右で比較する

外転筋の緊張を弛緩させるといっても、左右どちらの筋にアプローチすれば良いのかは、筋機能を比較してみないと判断することができません。

今回の手技の場合は、左右の肩関節の動きから、どちらの肩関節に外転筋の緊張傾向をあるかを検査してから、手技に移ります。

肩関節の外転・内転に作用する筋肉は?

肩関節は球状の関節なので、運動軸が多く、あらゆる方向に動かすことができます。

その全ての動きに主動作筋があり、拮抗筋があるため、日々の習慣によって作られる筋の緊張と弛緩のバランスはとても複雑になっています。

その中でも今回の手技に関与する筋肉は、主に以下のようなものがあります。

肩関節の外転に働く筋肉

  • 三角筋中部
  • 棘上筋

肩関節の内転に働く筋肉

  • 大胸筋
  • 大円筋
  • 広背筋

これらの筋肉の拮抗作用と、左右の緊張差を見ることで、どちらの肩関節にどのような手技をかけるかを考察します。

肩関節の他動運動から左右の緊張差をみる

肩関節の外転・内転の優位差を調べるには、様々な方法があります。

例えば、肩関節を水平内転させてその可動域をみたり、肩関節を抵抗下で外転運動をさせたりというのが一般的ですが、バランス療法では、肩関節の他動的な屈曲運動から外転筋・内転筋の緊張差を調べます。

屈曲運動は、直接的には外転・内転筋の検査にはなりませんが、外転・内転筋は屈曲筋・伸展筋と強調して作用します。

その特性を利用して、肩関節屈曲優位側が外転筋の緊張側、肩関節屈曲劣位側が内転筋の緊張側と考えます。

今回の手技では、緊張した肩関節外転筋を弛緩させる目的とするため、肩関節の屈曲優位側に手技を行います。

肩関節外転筋を弛緩させる目的で手技を行う

検査によって、どちらの三角筋などの肩関節外転に働く筋肉が緊張傾向にあるかが判別できたら、拮抗筋である内転筋とのバランス、反対側の外転筋とのバランスを整えるために、外転筋の弛緩を狙った手技を行います。

バランス療法には、静止した状態で筋に押圧の様な刺激を与える手技と、関節運動から筋に伸長刺激を与える手技がありますが、今回の手技は肩関節を定められた軌道で動かす手技です。

肩関節に外旋・内旋運動を与えない様に平行運動を行う

この手技は、肩関節を軽度外転位から、水平内転方向に運動させ、外転筋に伸長刺激を与えます。

肩関節を前額面上で回転運動させる様な軌道で操作を行います。

この時に注意したいのは、肩関節を外旋・内旋方向へ動かさない様にすることです。

この手技は、あくまでも平行運動を与えることが目的なのですが、肩関節に外旋・内旋などの捻れが加わると、途端に肩関節の運動方向が変わってしまい、術者が思った様に平行運動を供給できなくなります。

肩関節は、運動の自由度が高い関節であるため、他動運動下で動かす際はとても不安定な関節です。

バランス療法の手技は、受け手に筋緊張を起こさせない事が非常に重要だと考えているため、この様な手技では特に安定した関節運動を供給する様に最新の注意を払います。

術者がうまく肩関節を動かせる様になると、完全な他動運動下で、平行運動の軸を作ることができ、肩関節外転筋に伸長刺激を与えることが可能です。

手技を終えたら外転筋の緊張差を再検査する

うまく肩関節を動かすことができたら、手技によって筋のバランスがどの様に変化したかを再検査します。

検査は、手技の前に行った肩関節の屈曲検査を用います。

この時に、左右の肩関節の動きが対称になっていれば、手技を行った側の外転筋と内転筋の均衡が保たれ、また反対側との緊張差がなくなったということが確認できます。

また、刺激が全身に波及してれば、頚部の回旋運動の左右差や、ひいては下肢の筋機能の差も少なくなっています。

肩関節外転筋・内転筋を調整する手技のまとめ

肩関節は日常生活でもトラブルを起こしやすい関節であるため、肩関節からアプローチする手技は必然的に使用する頻度が高くなります。

バランス療法には、肩関節が体幹に引きつけられる求心側と、体幹から離れる遠心側という概念がありますが、今回の手技は遠心性に働く肩関節に対して、遠心方向への働きを抑制し、求心方向への働きを促す手技です。

頚肩部の痛みや違和感は、この遠心側に起こることが多いため、直接的にアプローチできる手技はとても有用です。

ただし、同時に関節の安定性が悪くコントロールが難しい手技なので、しっかり練習して再現性の高い手技を身につけていきましょう。

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