2016年9月のセミナーは脊柱起立筋と大殿筋に同時アプローチする手技を行いました
2016年9月に大阪で開催した、バランス療法セミナーでは、脊柱起立筋と大殿筋にアプローチする手技を行いました。
先月のテーマとなった手技は、内側足底筋付近から、脛骨神経系にアプローチする手技を行ったので、その次に行う手技の選択肢として今回の手技は有効です。
手技に入る前に殿筋の緊張を比較する検査から
実際に治療する手技はもちろん大切ですが、その前にどうしてこの手技を用いるのか?
何を狙って、この手技を行うのか?という評価が重要です。
また、手技を行なった後にどう筋の緊張が変化し、関節運動が変わったか?
ということを確認するためにも、再現性の高い検査を目指し、股関節の検査の確認を行います。
大・中・小殿筋の働きを左右で比較する
今回の手技は殿部の筋にアプローチするため、それぞれの筋肉の働きを確認に股関節の検査を行います。
具体的には、股関節の内外転の可動域、そして内外旋の可動域を左右で比較します。
この時に、外旋優位に働く側と、相対的に内旋優位に働く側の股関節を見極めて、その緊張差を均等にしてバランスを取って行きます。
他動的な関節運動から、筋肉の伸長差を見極めなければいけないため、検査は慎重に行います。
今回も、セミナーの受講生は術者役と患者役に分かれてそれぞれ検査の実技を復習します。
股関節の外旋傾向が強い側を判別できれば手技へ
今回の手技の目的となるのは、股関節を外旋する筋の緊張傾向が強い下肢に対して、外旋する筋を弛緩させ、左右の筋肉のバランスを整えることが主な目的です。
そのために、大殿筋の下部からアプローチを行うのですが、同時に大殿筋の支配神経である下殿神経系にもアプローチするため、下部腰椎の高さで筋に圧迫を加えます。
呼吸のタイミングを見ながら、両手を操作するので、初めてこの手技を練習する人にとっては少々複雑になりますが、同じ手技を何度も練習している受講生に取っては、手順はさほど難しくはない様です。
難しいのは患者に対するポジションをどう取っていくか?
手順よりも難しいのは、患者さんに対する術者のポジションです。
2つの箇所を同時に操作するということは、術者の重心は左右どちらにも寄らずに、中心を保たなければいけません。
荷重が極端にどちらかによると、どちらかの手に体重が乗ってしまい、その体重が患者さんの体に乗ってしまいます。
術者が患者さんに体重を預けるということは、自分の狙った以上の刺激が患者さんの身体に伝わってしまうということになり、上手く狙った効果が出なくなってしまいます。
この手技に限らず、手技療法全般い言えることですが、術者が思った通りに関節を動かしたり、筋肉に刺激を与えられる様になることは、とても重要だと感じます。
上手く操作できれば股関節の左右差が均等になる
この手技でうまく効果が出れば、股関節の内外転・内外旋の左右差は均等に改善されます。
股関節は人体の中で最大の関節ですし、立位や歩行など人間の基本的な動作ほとんどに関わる影響の強い関節です。
股関節に運動の左右差があるということは、骨盤を支える筋肉の緊張差があることにも繋がります。
筋肉は神経を介して全身と影響し合っているため、どんな症状を持っている方にも、股関節周囲の筋肉の左右差を改善することは大切ですが、特に腰痛や股関節痛みを持っている方には、特に必要です。
今後もしっかり手技の精度を高めていきたいですね。