2026年6月のセミナーBasicコース – 外側胸筋神経からの調整
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今回のBasicコースは、大胸筋にアプローチする「外側胸筋神経」という手技を学びました。
前日に開催したAdvanceコースの平衡調整という手技とは違い、手順はシンブルです。
関節の操作もなく、大胸筋周囲のポイントを柔らかく抑えていく手技になります。
外側胸筋神経とは
外側胸筋神経は解剖学的には腕神経叢から出る枝で、大胸筋鎖骨部や小胸筋に分布しています。
大胸筋へのアプローチとなると、内側胸筋神経も関係しますが、外側から大胸筋にアプローチするという意味で外側胸筋神経という手技の名前で使用しています。
肩関節検査で手技を行う側を決める
バランス療法の基本で、手技をかけるためには、まずは検査が必要です。
今回は上肢の運動に関わる手技なので、その状態を把握するために肩関節の屈曲検査を行います。
バランス療法では屈曲の動きが少ない側を、大胸筋などの内転筋や肩関節伸展筋の緊張側と捉えます。
手技の目的
肩関節検査によって屈曲機能が低下しているということは、反対に内転や伸展には強く働きすぎていて、常に上肢が求心方向に引き付けられている状態と考えることができます。
外側胸筋神経は、大胸筋(胸筋神経系)からアンバランスを整え、左右の筋機能を本来の状態に導くために行う手技です。
手技がうまく作用すると、過度に緊張・収縮していた大胸筋が弛緩され、求心方向への上肢の引き付けが軽減されます。
肩関節検査の屈曲運動が左右対称性の動きになり、手技の刺激が胸筋神経に作用し大胸筋の緊張が取れたことが確認できます。
受けている側は触れられているだけの様に感じる手技ですが、手技を受けている間に胸郭の状態が変化し、呼吸の深さが大きくなるという機能の変化が確認できます。
肩関節の屈曲・伸展の動きの改善だけでなく、呼吸器系の症状にも非常に効果の高い手技です。
今回のセミナーで伝えた手技のポイント
前額面を結んだ基準線(フロント)を基準としたF-LAPの視点から、外側胸筋神経の際の術者の身体の使い方についてお話ししました。
これまでセミナーでお伝えしていた身体の使い方とは大きく異なる内容なので、まずは術者が受け手に対して、どの位置に座って手技をスタートされるかということから確認しました。
術者のポジション

外側胸筋神経では、腹部の固定をしつつ、側胸部、胸骨、鎖骨下の固定をするために、術者は全ての場所に無駄なく手が届くところでポジションをとる必要があります。
自身の正中線を意識し、片側のつま先を立ててその上に座ります。
術者の正中線と足が一直線上に位置し、そこを基点に両大腿で三角形を作ります。
この大腿の角度が外側胸筋神経では約90度になります。
この角度は手技によって異なりますが、構造として安定した形にするには、60度か90度が最適で、それ以上の角度に大腿を広げると術者の身体が不安定になってしまいます。
術者は上記の座り方を意識して、受け手の胸骨剣状突起の高さに自身の正中線を合わせるようにポジションを取ります。
手技で触れるポイントとライン
外側胸筋神経の手技で触れるポイントは、受け手のラインで考えると以下の様に捉えることができます。
- 腹部の固定 : 乳頭線上のライン (Line1)
- 側胸部の固定 : 肩関節のライン (Line2)
- 胸骨部の固定 : 正中線上のライン (Line0)
- 鎖骨下の固定 : 乳頭線上のライン (Line1)
アプローチする場所はこれまでお伝えしてきた内容と変わりませんが、正中線を0とした基準線を意識することで、触れる場所がとらえやすくなります。
術者のフロントと作業ラインを平衡にする

今回の手技のポイントは、作業するラインを意識し、そのラインに合わせて術者の前額面を結んだ基準線(フロント)を作業ラインと平行に揃えることです。
- 第一相 : 腹部と側胸部の固定
- 第二相 : 腹部と胸骨部の固定
- 第三相 : 胸骨と鎖骨下の固定
第一相と第三相は、受け手の身体に対して平行に構えますが、第二相は腹部と胸骨を結んだ斜めのラインに合わせるため、受け手の頭側にある足を少し近づけてフロントを作業ラインに平行にします。
このように、常に受け手の身体に対して平行なラインに沿ってポジションを固定するのではなく、「動かす」「触れる」ことを想定した作業ラインを捉え、そこに自身のラインを合わせていくことが重要です。
これまで何年も同じポジションで手技をかけてきた外側胸筋神経ですが、F-LAPという視点から捉え直すことで、微妙に術者のラインを変化させることに気づきました。
これにより、さらに安定した柔らかい刺激を与えることができる手技に進化しました。
受講生の感想や受講時の様子
今回の手技のフォームの改善で、受講生からは「手技の形に入りやすくなった」「手のタッチが柔らかくなって受けていて心地よかった」という声が上がりました。
大胸筋が弛緩し、左右の機能が整い、胸郭の動きが良くなると、呼吸が大きく深く入るのですが、何とも言えない心地よさでリラックスできるのがこの手技の特徴です。
セミナー中に、気づいたら一瞬眠ってしまっていたという受講生も複数いました。
実際の施術でも、患者さんにうまく手技がかけられるように、何度も練習に取り組んでいました。
セミナーのまとめと母趾球平行ラインについて

今回の手技と少し話は逸れますが、セミナー前半はF-LAPの考え方で、身体の様々な所にラインを引いて、気づいた歩行分析についてお話ししました。
立位で左右それぞれの母趾球から前後に引いたラインは、ほぼ平行です。
膝の痛みで施術を受けたある患者さんの歩行の様子を分析したところ、歩く中でこの左右の母趾球平行ラインが平行を保てていないことに気づき、母趾球のラインを意識して、できるだけ平行に保つように歩いてみることを伝えました。
すると、それだけで膝の痛みが軽減されたということです。
その後、自分自身でも確認のために歩いてみたところ、確かに平行を意識することでバランスが安定し、階段昇降時の足の上がりやすさなど大きな変化を感じました。
今回を含めて、全ての手技のフォームの改善に関してもそうですが、人体に基準線を作り、それに沿って動きを作っていくことで、あらゆる動作に安定性や効率性が高まるのを実感します。
外側胸筋神経のような動きの少ない手技でさえ、F-LAPを基準としたラインの捉え方を取り入れることで、ポジションの取り方から手技のかけ方まで、大きく変化しました。
母趾球平行ラインについては、動きの指導が難しく、まだまだ言語化できないので、他の患者さんの変化も見つつ、改めてお話しできればと思います。
