左胸痛の17歳の男子高校生を施術しました

臨床において胸痛を訴える患者さんは少なくなく、今回の男子高校生も呼吸に関連する筋肉が正常に機能していないことで胸痛を発症したケースだったと思います。

それについてまとめました。

経緯

男子高校生の家族から連絡があり、突然左の胸が痛くなり呼吸もちゃんと出来ず、専門病院で検査をしても異常が見当たらなかったので一度見て欲しいとのことで後日来院してもらいました。

彼は昨年顎関節症で来院し施術した過去があります。今回はそれ以来半年ぶりの来院です。

病院

来院の1週間前、学校の授業中に突然胸全体に痛くなり、痛みが継続するので自宅近所の診療所を受診。すぐに循環器専門の病院に転院。

血液検査、CT検査、心電図、全て異常なし。経過を観察するとの事。

問診

症状

初日は胸全体だったが、2〜3日が過ぎて左胸部のみが痛む。

来院時も左胸部が痛み、左乳頭の下部周辺の第5〜6肋間。継続的ではなく断続的な痛み。特に起床時と食後の10分過ぎると急激に痛む。呼吸が深く出来ず、常に浅い呼吸しか出来ない。じっとしてて違う動作をしようとする度に痛む。

顔が歪むほどの激痛ではないものの痛みで集中できず、呼吸が浅いので1日しんどい。

特に痛みの変化がないまま1週間経過。

患者さんの特徴

身長が180cmを超え、体格もガッシリして筋肉質。週3日テニススクールに通い、日頃からハードに身体を動かしている。

問診で私が感じた事

電話があった時はテニスで痛めたのかなと思いましたが、痛みが出る前から学校の試験のため練習をしていなかったそうです。よってテニスによる急性症状ではなさそうでした。 

病院でCTや心電図等の検査で、心臓に異常がないと分かったので少し安心しました。

痛むきっかけがあったはずですが、普段と違う事といえば試験勉強で座っている時間が長いくらいだそうです。ただ試験勉強の姿勢が悪くてここまでの痛みが継続するのは考えにくいです。

痛みのきっかけが分からないものの、左右対称に筋肉を機能させて様子をみようと思いました。

検査

まず施術の前に検査をしました。

必ず3つの検査を行いますが、今回のように痛みで呼吸がしにくい場合、股関節や膝関節検査以上に肩関節の動きに左右差が生じる場合が多いです。

彼には肩関節の動きの差と今回の症状との関係性を説明することにしました。

肩関節の検査を行うと、右肩関節の屈曲は特に制限はないものの、左肩関節の屈曲は本人もびっくりするほど運動制限があり、上肢を動かす筋肉が左右対称性に機能していないことを彼にも分かってもらえました。

左の肩関節の可動が悪いから左肩関節に問題があるように受け取られますが、全身の筋肉全体が左右対称に機能していないため左肩関節の屈曲運動に制限が起きただけで、左肩関節だけに問題があった訳ではありません。

問題なのは、全身の筋肉の非対称性の働きです。

そして筋肉の機能に左右差があれば、必ず骨格のポジションにも影響は出ます。

上肢の運動には肩甲骨、鎖骨、胸骨が関わり、これらの骨に付着する筋肉には呼吸運動に関連する筋肉が多くあります。その筋肉の機能に左右差があれば胸郭に捻れが生じます。

胸郭を構成する胸骨、肋骨、胸椎が正しく動くことで呼吸運動が成立します。よって、この胸郭を捻れさせている筋肉を左右対称にしない限り正常に呼吸運動は出来ません。

 

あと立位で深呼吸をしてもらいました。胸部に痛みがあるので深呼吸が出来ず苦しそうな顔をしました。

深呼吸は安静時呼吸と違い努力時呼吸となり使う筋肉も増えます。この努力時呼吸で使う筋肉を検査で分析すれば改善の近道になります。

施術

左上肢の動きを大きく邪魔している左大胸筋、左広背筋、右僧帽筋に中心に手技の内容を考えました。

まず重心に関連する下肢の手技を行い、寛骨のポジションを揃えました。症状がある上半身や上肢はリラックスしにくいので、下肢から手技を始め、その後上肢に手技を行います。

下肢の手技、そして上肢の手技をしていると、彼の胸郭の動きがどんどん大きくなっていくのが確認出来ました。

さらに左の広背筋や右の僧帽筋の緊張を緩める手技を行い、上肢の検査をすると本人も分かるほど左右対称に動いている事が確認出来ました。

深呼吸してもらうために立ってもらうと、深呼吸する前からもう既に笑顔だったのでこれで大丈夫だと思いましたし、深呼吸も問題なく出来て見る見るうちに顔色も良くなり、満面の笑みになったのでここで施術を終わりました。

確認

施術直後では食後の痛みや起床時の胸痛がどこまで改善しているか確認できないため、後日症状の報告をしてもらうようにお願いし、3日後に電話があり食事後も起床時も全く痛みがなく、深い呼吸も出来て以前と同じように生活できているそうです。

これで安心しました。

やはり場所が場所だけに痛みが再発し呼吸が浅くなった場合は、総合病院に行ってもらい精密検査をした方が良いのでは?と思っていましたが大丈夫そうです。

考察

今回の胸痛とそれによる呼吸運動の機能低下についてです。

胸痛の部分には左大胸筋の胸肋部又は腹部の過緊張が原因ではないかと思います。実際に肩関節検査においても、左肩関節の屈曲運動に制限があり左大胸筋の胸肋部や腹部の緊張が影響していることが分かります。この左大胸筋の緊張が胸骨や肋骨を捻り、正常な呼吸運動を阻害していたと考えます。

病院では異常がないと診断されたのに咳が止まらないケースや、今回のような急激な胸痛などを訴える患者さんがいます。そのほとんどのケースで胸郭の捻れがあり、その捻れを作っているのは大胸筋や広背筋や僧帽筋など呼吸に関する筋肉の左右の機能差にあると思っています。

今回は1回の施術で改善出来た良い症例でした。ご家族も一安心したようでとても喜んでもらえました。

ただ一つ、なぜ食後に胸痛がひどくなるのか?だけが分からず、この疑問点だけが残っています。食べ物が食道を通る際に痛みが出るなどという事があり得るのか…?

もう少しだけ様子をみようと思います。

 

 

 

近日開催する手技セミナーはこちら

筋の緊張差をコントロールするバランス療法のセミナーで、一緒に手技を学びませんか?

・大阪セミナー

大阪上本町
2018年11月11日 (日) 10:00〜

・東京セミナー

千代田区麹町 AS STYLE
2018年11月25日 (日) 12:00〜