2017年12月の大阪セミナーはL2・L4からの調整をテーマに開催しました
2017年12月10日に大阪上本町で開催した手技セミナーは、第二腰椎・第三腰椎から調整する手技をテーマに開催しました。
Basic・Advance・Professionalそれぞれのコースの受講生が参加し、今回は鍼灸師の方がセミナーの見学に来られました。
第二・第四腰椎からアプローチする手技
バランス療法の基本的な考え方は、四肢の関節運動から左右の筋の緊張差を分析し、それぞれに適切なアプローチをすることで、左右の筋肉のバランスを整えるというものです。
四肢の筋機能が左右で均等になれば、脊柱をバランス良く支えることができると考えているため、四肢を調整する手技が多くなるのですが、いくつか体幹からアプローチする手技があります。
今回の手技は、その中の一つで、L2・L4から全身の筋のバランスを整える目的で行います。
手技の効果を確認する検査を行う
今回の手技は、検査をもとに行う手技ではありませんが、手技によって全身の筋のバランスがどのように変化したかを確認するため、事前に検査を行います。
検査は左右の筋の緊張差を調べることができるものなら何を指標に用いても構いませんが、L2とL4という場所を考えると、大腿神経系や坐骨神経系の筋肉への影響がまず考えられます。
そのため、膝関節の屈曲検査から、大腿四頭筋とハムストリングスの機能を調べて、それを指標に使うのが良いでしょう。
もちろん、バランス療法の手技は、全身の筋に影響を与えるため、間接的に関連のある肩関節の屈曲検査から、左右の広背筋の伸長差で確認してみるのも良いでしょう。
L2・L4を触診で確認する
検査を終えたら、手技に移ります。
手技としては、L2とL4それぞれの高さで、棘突起の両側を軽く押圧していくというものなので、まずはそれぞれの位置を確認します。
伏臥位の状態で、左右の腸骨稜上部を結んだ、ヤコビ線上に第四腰椎の棘突起があるので、まずはL4を確認します。
そしてL3→L2と棘突起を触っていけば、第二腰椎棘突起が見つけやすくなります。
棘突起の両側を左右同時に押圧する
今回の手技は、L2・L4の両側に、左右同時に母指で押圧する手技です。
L2では、棘突起からすぐ横に母指をおき、呼吸のタイミングを見ながらゆっくりと圧を加えます。
L4では、棘突起からL2よりも少し母指を広げたポイントに母指をおき、こちらも呼吸を見ながらゆっくりと圧を加えます。
L2とL4を続けて行っても良いですが、L2だけ・L4だけという様にアプローチしても問題ありません。
手技の刺激がうまく伝わると受け手の呼吸が自然と深くなっていく様子が見られます。
押圧を加えてから、4・5回の呼吸を見て、母指を離します。
圧が強くならない様に注意する
バランス療法の手技は、基本的に受け手の身体に負担をかけない、優しい刺激が特徴です。
この手技は、伏臥位の身体にまたがるような体勢になるので、見た目には圧が強そうに見えますが、あくまでも筋への刺激を目的にしているので、圧は極力少なくなるように心がけます。
最も多いミスとしては、指圧の様に術者が自身の体重を母指にかけていってしまうことです。
体重の乗った強い刺激は、受け手の身体がリラックスできず、自然な呼吸が阻害されるため、術者は手技の最中も身体の中心に重心がくる様に心がけて下さい。
手技を終えたら検査で確認する
L2・L4の手技を終えたら、手技の前に行った検査を用いて、再度検査を行います。
左右それぞれ行う手技ではないため、検査を取り違えて手技をかけてしまうことがなく、ミスが少なそうな手技ですが、以下の様なことが原因で筋の左右差が整わないことがあります。
- 呼吸のタイミング
- 押圧の強さ
- 左右の押圧差
- 押圧の方向
そのため、この手技の場合も例外なく再検査が必要です。
最初に行った肩・膝関節の屈曲可動域を左右で比較する検査で確認することが基本ですが、今回のセミナーでは、応用として坐骨神経のテストに用いられるラセーグ兆候でも確認してもらいました。
第二・四腰椎にアプローチする手技のまとめ
今回の手技は、第二・四腰椎棘突起の両側を押圧するシンプルな手技です。
他の手技の様に、事前に筋の左右差を見極めてからでないと使うことができないというものではないので、比較的取り組みやすい手技だと言えます。
使い所としては、施術の後半に用いることが多いため、その際にしっかりと心地よい刺激を与えられる様に、押圧する場所や術者の身体の使い方など、意識して練習に取り組みましょう。